Oracle Grid Infrastructure(GI)の構築が完了したら、次はいよいよ Oracle 26ai RAC データベースの構築 です。本記事では、データベース・ソフトウェアのインストールから、DBCA(Database Configuration Assistant)を使用したクラスタデータベースの作成までを詳しく解説します。
結論として、26ai の RAC インストールはイメージ・ベース・インストールの採用により、従来よりもシンプルになっていますが、ノード間の所有権設定や、共有ストレージ(ASM)の準備状態が成功の鍵を握ります。
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結論:DB 構築の最短手順リスト
- 環境変数の設定:
oracleユーザーの.bash_profileを設定し反映。 - ソフトウェア展開: Edelivery から入手した ZIP を DB ホームに直接解凍。
- ソフトウェア・インストール:
runInstallerを起動し、全ノードに展開。 - データベース作成:
dbcaを使用し、ASM ディスクグループ上に RAC DB を作成。 - 状態確認:
crsctlおよび SQL*Plus で PDB の起動状態を確認。
背景と基礎:26ai RAC 構成のポイント
Oracle 26ai(23ai ベース)では、マルチテナント・アーキテクチャが必須となっており、RAC 構成においても CDB(コンテナ・データベース)と PDB(プラガブル・データベース)の概念を正しく理解しておく必要があります。
初心者向け一口メモ 26ai のインストールは、先にディレクトリを作成してそこにファイルを解凍する「イメージ・ベース」方式です。従来の
runInstallerから OUI を起動してインストール先を選ぶ方式とは順序が異なる点に注意してください。
手順 1:事前準備(環境変数とディレクトリ)
第1部で作成したディレクトリを使用し、oracle ユーザーで作業を開始します。なお、本環境は Oracle VM 環境 で構成されています。
1.1 oracle ユーザーの .bash_profile 設定
ノード 1 およびノード 2 の両方で設定してください。
su - oracle
cat << EOF >> ~/.bash_profile
export ORACLE_SID=orcl1
export ORACLE_BASE=/u01/app/oracle
export ORACLE_HOME=/u01/app/oracle/product/23.0.0/dbhome_1
export PATH=\$ORACLE_HOME/bin:\$ORACLE_HOME/OPatch:\$PATH
EOF
source ~/.bash_profile
1.2 ソフトウェアの展開
Oracle Software Delivery Cloud から入手した DB ソフトウェアを、oracle ユーザーで解凍します。
cd $ORACLE_HOME
unzip -q V1054592-01.zip -d $ORACLE_HOME
rm -rf V1054592-01.zip
手順 2:データベース・ソフトウェアのインストール
まずはデータベース・エンジンのインストールのみを行います。GUI を使用するため、ノード 1 から実行します。
# ノード 1 にて実行
cd $ORACLE_HOME
./runInstaller
主要な選択項目:
- 構成オプション: 「ソフトウェアのみのインストール」を選択。
- データベース・インストールのタイプ: 「Oracle Real Application Clustersデータベースのインストール」を選択。
- ノードの選択:
rac-26ai1およびrac-26ai2が選択されていることを確認。 - 前提条件チェック: Perform Prerequisite Checks 画面で Failed の項目がある場合は、必ず修正してから「再チェック」を実行してください。
- スクリプト実行: 終了間際に指示される
root.shを両ノードで実行。










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手順 3:DBCA によるデータベース作成
ソフトウェアの導入後、dbca を使用して共有ディスク(ASM)上にデータベースを作成します。
# ノード 1 にて実行
dbca
主要な構成値(検証用):
- データベース・タイプ:
Oracle Real Application Clustersデータベース - 構成タイプ:
管理型構成 - 記憶域:
ASM(第1部で作成した+DATAディスクグループを使用) - 高速リカバリ領域: 必要に応じて
+DATAまたは別のディスクグループを指定。 - 前提条件チェック: ここでも Failed があれば修正して再チェックを行ってください。 * コンテナ・データベース:
Yes(26ai では必須)。PDB 名としてpdb01を指定。
















手順 4:構築後の稼働確認
作成が完了したら、クラスタ・リソースの状態とデータベースの内容を確認します。
4.1 クラスタ・リソースの確認
grid ユーザーに切り替えて、リソース・ステータスを確認します。
su - grid
crsctl stat res -t
ora.orcl.db が各ノードで ONLINE であり、Open または READ WRITE と表示されていれば正常です。
[oracle@rac-26ai1 dbhome_1]$ su - grid
Password:
[grid@rac-26ai1 ~]$ crsctl stat res -t
--------------------------------------------------------------------------------
Name Target State Server State details
--------------------------------------------------------------------------------
Local Resources
--------------------------------------------------------------------------------
ora.LISTENER.lsnr
ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
ora.chad
ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
ora.helper
OFFLINE OFFLINE rac-26ai1 STABLE
OFFLINE OFFLINE rac-26ai2 STABLE
ora.net1.network
ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
ora.ons
ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
--------------------------------------------------------------------------------
Cluster Resources
--------------------------------------------------------------------------------
ora.ASMNET1LSNR_ASM.lsnr(ora.asmgroup)
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
2 ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
ora.DATA.dg(ora.asmgroup)
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
2 ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
ora.LISTENER_SCAN1.lsnr
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
ora.LISTENER_SCAN2.lsnr
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
ora.LISTENER_SCAN3.lsnr
1 ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
ora.OCR.dg(ora.asmgroup)
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
2 ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
ora.asm(ora.asmgroup)
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 Started,STABLE
2 ONLINE ONLINE rac-26ai2 Started,STABLE
ora.asmnet1.asmnetwork(ora.asmgroup)
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
2 ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
ora.cdp1.cdp
1 OFFLINE OFFLINE STABLE
ora.cdp2.cdp
1 OFFLINE OFFLINE STABLE
ora.cdp3.cdp
1 OFFLINE OFFLINE STABLE
ora.cvu
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
ora.cvuhelper
1 OFFLINE OFFLINE STABLE
ora.orcl.db
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 Open,HOME=/u01/app/o
racle/product/23.0.0
/dbhome_1,STABLE
2 ONLINE ONLINE rac-26ai2 Open,HOME=/u01/app/o
racle/product/23.0.0
/dbhome_1,STABLE
ora.orcl.orcl_pdb01.svc
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
2 ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
ora.orcl.pdb01.pdb
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 READ WRITE,STABLE
2 ONLINE ONLINE rac-26ai2 READ WRITE,STABLE
ora.rac-26ai1.vip
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
ora.rac-26ai2.vip
1 ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
ora.rhpserver
1 OFFLINE OFFLINE STABLE
ora.scan1.vip
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
ora.scan2.vip
1 ONLINE ONLINE rac-26ai1 STABLE
ora.scan3.vip
1 ONLINE ONLINE rac-26ai2 STABLE
--------------------------------------------------------------------------------
4.2 データベースへの接続と PDB の確認
oracle ユーザーで SQL*Plus を起動し、PDB の状態を確認します。
su - oracle
sqlplus / as sysdba
SQL> show pdbs
CON_ID CON_NAME OPEN MODE RESTRICTED
---------- ------------------------------ ---------- ----------
2 PDB$SEED READ ONLY NO
3 PDB01 READ WRITE NO
トラブルシューティング
| 状況 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 前提条件チェックで Failed | OS設定不備/リソース不足 | エラー内容を確認し、/etc/sysctl.conf や権限を修正して再試行。 |
| runInstaller が起動しない | X11 転送または DISPLAY 変数の不備 | xhost + の実行や、適切な IP 指定を確認。 |
| ASM ディスクが見つからない | oracle ユーザーの権限不足 | usermod -a -G asmdba oracle が実行済みか確認。 |
| DBCA でノード疎通エラー | SSH 信頼関係の不備 | grid だけでなく oracle ユーザーでもパスワードレス SSH が可能か確認。 |
運用・セキュリティ上の注意
- リスク: 26ai では CDB/PDB 構成が標準です。PDB への接続サービス名を適切に管理してください。
- 影響範囲: 共有ディスクへの書き込みに失敗すると、全インスタンスが影響を受けます。ASM のディスクグループ管理(DATA)には十分注意してください。
- 戻し方: 失敗した場合は
dbca -silent -deleteDatabaseもしくは手動でインスタンスを削除し、データファイルをクリアします。
FAQ
Q: 26ai RAC でも従来の dbhome ディレクトリ構成を使えますか? A: はい。パスは任意ですが、今回は 23c 以降の慣例に従い /u01/app/oracle/product/23.0.0/dbhome_1 を使用しています。
Q: Perform Prerequisite Checks で無視(Ignore)しても良い項目はありますか? A: 検証環境であっても、Failed 項目は原則修正してください。Warning であれば環境により無視可能な場合もありますが、可能な限り解消することを推奨します。
Q: データベース作成中に ORA-15055 (ASMエラー) が出ました。 A: oracle ユーザーが ASM グループ(asmdba 等)に所属しているか、また /dev/sd* の udev ルールで所有権が正しく設定されているか確認してください。
まとめ
- イメージ・ベース・インストールにより、ホームへの直接解凍が必要です。
- Perform Prerequisite Checks での Failed は、必ず修正して再チェックをパスさせてください。
- CDB/PDB 構成を前提とした DBCA 設定を行います。
- ASM グループ権限が
oracleユーザーに正しく付与されていることが重要です。
これで Oracle 26ai RAC の基本構築は完了です。AI 機能を活用した高度なデータベース運用を始めましょう。
本記事は Oracle AI Database 26ai を対象に解説します(他バージョンは画面や既定値が異なる場合があります)。
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