データベースを効率的に運用する上で、REDOログファイルは非常に重要な役割を果たします。特にOracleデータベースを使用している場合、REDOログはデータベースの一貫性と障害回復のために不可欠です。しかし、初心者にとってはその概念や仕組みが少し難しく感じられるかもしれません。本記事では、REDOログファイルについて、その基本的な役割から具体的な操作方法まで、初心者向けにわかりやすく解説していきます。
REDOログファイルの基本
1. REDOログファイルの定義
REDOログファイルは、Oracleデータベースで実行されたすべてのデータ変更操作(INSERT、UPDATE、DELETEなど)の履歴を記録するファイルです。これにより、データベースに障害が発生した場合でも、REDOログを使ってデータの整合性を保ち、データを回復することができます。
2. REDOログファイルの役割
REDOログファイルの主な役割は、次の2つです:
- 障害復旧:システム障害やクラッシュが発生した場合、データベースはREDOログを使用して、直近のコミット済みのトランザクションまでのデータをリカバリします。これにより、データ損失を最小限に抑えることができます。
- データ一貫性の保持:データベースがクラッシュした際、未コミットのトランザクションを取り消す必要があります。REDOログを使うことで、データベースはコミット済みのトランザクションのみを再適用し、未コミットのものは復元されません。
3. REDOログの構造
REDOログは通常、複数のファイルで構成されています。それぞれのファイルは「グループ」としてまとめられ、データベースはこれらのグループを順次使用します。REDOログファイルのグループは、ログスイッチと呼ばれるタイミングで切り替わります。
- REDOロググループ:複数のREDOログファイルが1つのグループを形成し、通常は2つ以上のグループがデータベース内で設定されています。
- ログスイッチ:あるREDOロググループがいっぱいになると、データベースは次のグループに切り替わります。この動作は「ログスイッチ」と呼ばれます。
4. アクティブREDOログとアーカイブREDOログ
REDOログは大きく2つに分けられます:
- アクティブREDOログ:現在、データベースで使用されているログ。トランザクションの履歴がリアルタイムで書き込まれます。
- アーカイブREDOログ:使い終わったREDOログがアーカイブされ、将来的なリカバリやバックアップのために保存されます。アーカイブログモードが有効になっている場合に生成されます。
REDOログファイルの仕組み
1. REDOログの書き込み
Oracleデータベースのアーキテクチャでは、トランザクションが実行されるたびに、データ変更がREDOログバッファというメモリ領域に一時的に格納されます。このデータは、REDOログライタ(LGWR)と呼ばれるプロセスによってREDOログファイルに定期的に書き込まれます。
- LGWRの役割:LGWRは、次のタイミングでREDOログにデータを書き込みます。
- トランザクションがコミットされるとき
- REDOログバッファがいっぱいになったとき
- データベースのシャットダウンやチェックポイントが発生したとき
2. ログスイッチとログの再利用
REDOログファイルがいっぱいになると、ログスイッチが発生し、次のREDOロググループに切り替わります。このとき、古いREDOログファイルはアーカイブされるか、アーカイブされない場合は上書きされます。これにより、ディスク容量を効率的に利用しつつ、障害発生時のリカバリも可能になります。
- アーカイブモードのメリット:REDOログがアーカイブされることで、過去のトランザクションの履歴が保存され、障害発生時により広範なリカバリが可能となります。
3. REDOログとインスタンスリカバリ
データベースがクラッシュした場合、REDOログはインスタンスリカバリの過程で使用されます。このプロセスでは、コミットされたトランザクションの変更がディスクに再適用され、未コミットのものはロールバックされます。これにより、データベースは一貫性を保ち、最小限のダウンタイムで再稼働できます。
REDOログファイルの管理
1. REDOロググループの追加・削除
REDOログファイルの管理は、Oracleデータベース管理者(DBA)にとって重要な作業の一つです。適切な数のREDOロググループを設定することで、パフォーマンスを最適化し、障害発生時のリカバリ時間を短縮することができます。
REDOロググループの追加
次のSQLコマンドを使用して、新しいREDOロググループを追加することができます:ALTER DATABASE ADD LOGFILE GROUP 3 ('/u01/app/oracle/oradata/redo03.log') SIZE 50M;
このコマンドは、新しいREDOロググループを作成し、指定したディレクトリに50MBのREDOログファイルを作成します。
REDOロググループの削除
不要なREDOロググループを削除する場合は、次のSQLコマンドを使用します:ALTER DATABASE DROP LOGFILE GROUP 2;
ただし、現在使用中のグループやアクティブなグループは削除できませんので注意が必要です。
2. アーカイブモードの設定
アーカイブモードを有効にすることで、REDOログファイルをアーカイブし、長期的なリカバリが可能になります。アーカイブモードを有効にするには、次の手順を実行します。
- データベースをマウント状態にする。
SHUTDOWN IMMEDIATE;
STARTUP MOUNT;
- アーカイブモードを有効にする。
ALTER DATABASE ARCHIVELOG;
- データベースをオープン状態に戻す。
ALTER DATABASE OPEN;
これで、REDOログがアーカイブされるようになります。
REDOログに関するよくある問題と対処法
1. REDOログの不足
REDOログファイルが不足している場合、ログスイッチの頻度が高くなり、パフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあります。この場合、REDOロググループのサイズを拡大するか、グループの数を増やすことで対応します。
2. アーカイブREDOログのディスク容量不足
アーカイブREDOログがディスクスペースを占有しすぎると、ディスク容量が不足する可能性があります。この場合、古いアーカイブログをバックアップして削除するか、アーカイブログの保存ポリシーを見直す必要があります。
まとめ
REDOログファイルは、Oracleデータベースの障害復旧やデータ一貫性を維持するために重要な役割を果たしています。本記事では、REDOログの基本的な仕組みから、具体的な操作方法、そして問題発生時の対処法までを解説しました。REDOログに関する理解を深め、適切な管理を行うことで、データベースのパフォーマンスと信頼性を向上させることができます。
[参考]
データベース管理者ガイド – 11 REDOログの管理
データベース管理者ガイド – 12 アーカイブREDOログ・ファイルの管理
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