Oracleデータベースにおける表領域の管理は、データベースのパフォーマンスと効率性を左右する重要な要素です。その中でも ローカル管理方式 は、現代のデータベース運用で標準となっています。
この記事では、ローカル管理方式の基本的な仕組みから具体的な設定方法、さらに運用でのポイントまでを詳しく解説します。
1. ローカル管理方式とは?
ローカル管理方式は、表領域内でエクステント(データの格納単位)の管理を行う仕組みです。従来の「ディクショナリ管理方式」と異なり、エクステント管理情報を 表領域内のビットマップ形式 で保存するため、以下のような利点があります。
- エクステント割り当ての効率化
- データディクショナリへの依存の軽減
- フラグメンテーションの抑制
データ構造の違い
管理方式 | 管理情報の保存場所 | 使用技術 |
---|---|---|
ディクショナリ管理方式 | データディクショナリ | 表や索引を使用 |
ローカル管理方式 | 表領域内のビットマップ | ビットマップ構造を利用 |
2. ローカル管理方式の利点
ローカル管理方式には、次のような明確な利点があります。
(1) 高速なエクステント操作
ビットマップを使用することで、エクステントの割り当てや解放が効率化されます。
(2) データベースのパフォーマンス向上
データディクショナリを参照する必要がなく、システムリソースの消費が軽減されます。
(3) フラグメンテーションの軽減
エクステントの自動管理により、データファイルの断片化を抑えることができます。
3. ローカル管理方式の種類
ローカル管理方式には以下の2つの割り当て方式があります。
UNIFORM方式
- 特徴:すべてのエクステントが固定サイズ。
- 適用例:均一なデータ量を扱う表領域(ログ保存用など)。
- メリット:管理が簡単で、パフォーマンスが予測しやすい。
AUTOALLOCATE方式
- 特徴:データ量に応じてエクステントサイズを自動調整。
- 適用例:データ量が不均一なアプリケーションデータ。
- メリット:無駄なディスクスペースを最小限に抑える。
4. 実践!ローカル管理方式の設定
ローカル管理方式を使用した表領域の作成例を以下に示します。
UNIFORM方式の表領域を作成
CREATE TABLESPACE uniform_tbs
DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/uniform_tbs.dbf' SIZE 100M
EXTENT MANAGEMENT LOCAL UNIFORM SIZE 1M;
AUTOALLOCATE方式の表領域を作成
CREATE TABLESPACE auto_tbs
DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/auto_tbs.dbf' SIZE 100M
EXTENT MANAGEMENT LOCAL AUTOALLOCATE;
作成済み表領域の管理方式を確認
以下のSQLを実行すると、現在の管理方式を確認できます。
SELECT tablespace_name, extent_management, allocation_type
FROM dba_tablespaces;
出力例:
TABLESPACE_NAME | EXTENT_MANAGEMENT | ALLOCATION_TYPE |
---|---|---|
USERS | LOCAL | AUTOALLOCATE |
UNIFORM_TBS | LOCAL | UNIFORM |
5. ディクショナリ管理方式との比較
項目 | ローカル管理方式 | ディクショナリ管理方式 |
---|---|---|
管理情報の保存場所 | 表領域内(ビットマップ) | データディクショナリ |
エクステント割り当て速度 | 高速 | 低速 |
フラグメンテーションの影響 | 少ない | 発生しやすい |
現在の推奨度 | 非常に高い(デフォルト) | 低い(互換性維持のためサポート) |
6. 運用でのベストプラクティス
(1) 適切な方式を選択する
- UNIFORM方式:均一なデータ量が予測される場合(例:ログ保存用)。
- AUTOALLOCATE方式:データ量が変動する場合や詳細な管理が不要な場合。
(2) ディスク容量を常に監視する
AUTOALLOCATE方式ではエクステントサイズが自動で拡張されるため、ディスク容量が不足しないように注意が必要です。
(3) 古いディクショナリ管理方式の表領域を移行する
ディクショナリ管理方式の表領域をローカル管理方式に移行する際には、データを新しい表領域に再配置する手順を計画的に行いましょう。
7. まとめ
ローカル管理方式は、Oracleデータベースのパフォーマンスを最適化するために欠かせない表領域管理の仕組みです。その利点は、効率的なエクステント操作、高速なパフォーマンス、管理の簡素化にあります。
データベースを新たに構築する際には、ローカル管理方式をデフォルトで活用しつつ、要件に応じて UNIFORM方式 と AUTOALLOCATE方式 を選択することで、効率的で信頼性の高い運用が可能になります。
[参考]
Oracle Databaseデータベース管理者ガイド 19c
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