Oracleデータベースで効率的にデータを管理するためには、セグメントの領域管理とPCTFREEの概念を正しく理解することが重要です。本記事では、これらの基礎を丁寧に解説し、実際の運用に役立つ情報を提供します。
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1. セグメント領域管理方法とは?
セグメント領域管理は、データブロックやエクステントの空き領域を管理する方法で、データの格納効率や更新時のパフォーマンスに影響を与えます。以下の2種類が存在します。
1.1 手動管理(Manual Segment Space Management, MSSM)
- 管理方法: フリーリストを使用して空き領域を管理。
- 特徴:
- PCTFREEとPCTUSEDを組み合わせてデータブロックの利用を制御。
- 高度な調整が可能。
- 主な用途:
- 更新頻度が非常に高いアプリケーション。
- 設定例:
CREATE TABLESPACE example_tbs DATAFILE '/path/to/datafile.dbf' SIZE 100M EXTENT MANAGEMENT LOCAL SEGMENT SPACE MANAGEMENT MANUAL;
1.2 自動管理(Automatic Segment Space Management, ASSM)
- 管理方法: ビットマップを使用して空き領域を管理。
- 特徴:
- 自動的に空き領域を効率化。
- PCTFREEのみ有効。
- デフォルトで推奨される方法。
- 主な用途:
- 更新が少なく、大量のデータ挿入を扱うアプリケーション。
- 設定例:
CREATE TABLESPACE example_tbs DATAFILE '/path/to/datafile.dbf' SIZE 100M EXTENT MANAGEMENT LOCAL SEGMENT SPACE MANAGEMENT AUTO;
2. PCTFREEとは?
PCTFREE(Percentage Free)は、データブロック内で更新用に予約される空き領域の割合を指定するパラメータです。
2.1 PCTFREEの役割
- データの更新により行サイズが増大した場合に備えて、ブロック内の空きスペースを確保。
- ブロックが
FULL
状態になる前に空き領域を保証。
2.2 設定例
CREATE TABLE customers (
customer_id NUMBER,
customer_name VARCHAR2(100),
phone_number VARCHAR2(20)
) PCTFREE 20;
上記では、各データブロックの20%が更新用に予約されます。
2.3 PCTFREEのデフォルト値
- デフォルト値は10%。
- 値を高くすると更新時のパフォーマンスが向上しますが、ディスク使用効率が低下します。
3. MSSMとASSMの違いと選択
項目 | MSSM | ASSM |
---|---|---|
管理方法 | フリーリスト | ビットマップ |
対応するパラメータ | PCTFREE, PCTUSED | PCTFREE |
推奨シナリオ | 更新頻度が非常に高い場合 | 挿入が中心の場合 |
導入の容易さ | 中程度 | 高い |
4. PCTFREEを図解で理解
以下の図は、PCTFREEの概念を視覚的に示したものです。
4.1 データブロックの構造
+-------------------------------------------+
| データヘッダー(10%) |
+-------------------------------------------+
| 使用領域(70%) |
+-------------------------------------------+
| PCTFREE領域(20%) |
+-------------------------------------------+
- データヘッダー: ブロックのメタ情報を保持。
- 使用領域: 挿入された行データが格納される部分。
- PCTFREE領域: 更新時のために予約されたスペース。
5. 実践例: PCTFREEの活用
5.1 大量挿入後の更新を考慮するケース
PCTFREEを高く設定して、更新用の空き領域を確保。
CREATE TABLE orders (
order_id NUMBER,
order_date DATE,
total_amount NUMBER
) PCTFREE 25;
5.2 更新がほとんどない場合
PCTFREEを低く設定して、ブロックの使用効率を高めます。
CREATE TABLE archived_data (
record_id NUMBER,
archive_date DATE
) PCTFREE 5;
6. 注意点とベストプラクティス
- 高すぎるPCTFREE:
- ブロック使用率が低下し、ディスク使用量が増加。
- 推奨: 更新が頻繁でない場合は10%以下に設定。
- 低すぎるPCTFREE:
- 更新時に行のチェーン化が発生し、パフォーマンスが低下。
- 推奨: 更新が頻繁な場合は15%以上に設定。
- ASSMの利用を検討:
- 更新や挿入の混在がある場合、ASSMによる自動管理が適切。
7. 確認とモニタリング方法
7.1 PCTFREEの確認
SELECT TABLE_NAME, PCT_FREE FROM USER_TABLES WHERE TABLE_NAME = 'CUSTOMERS';
7.2 ブロック使用状況のモニタリング
SELECT DBMS_ROWID.ROWID_BLOCK_NUMBER(ROWID) AS BLOCK_NUMBER,
COUNT(*) AS ROW_COUNT
FROM CUSTOMERS
GROUP BY DBMS_ROWID.ROWID_BLOCK_NUMBER(ROWID);
8. まとめ
セグメントの領域管理方法とPCTFREEは、Oracleデータベースの効率的な運用に欠かせない要素です。特に、データの特性に合わせた適切なPCTFREEの設定が、パフォーマンス向上とリソースの最適化に寄与します。
[参考]
Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド 19c
【初心者向け】Oracle SQLでの表の作成、INSERT、UPDATE、DELETEをマスター
データベースを操作する際、テーブル(表)を作成し、データを追加、更新、削除することは基本中の基本です。Oracle SQLは、強力かつ柔軟なデータベース管理システムであり、多くの企業で使われています。本記事では、Oracle SQLを使って...
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