Oracle Databaseのセグメント拡張 – エラー対応とベストプラクティス

Oracle Master Silver

Oracle Databaseでは、データが増加するとセグメントの領域が不足し、エラーや性能劣化を引き起こす可能性があります。この課題に対処するための重要な仕組みが**セグメント拡張(Extent Allocation)**です。本記事では、初心者から実務者まで幅広く役立つ内容を網羅的に解説します。

記事の目次

  1. セグメント拡張とは何か?仕組みと概念の基本
  2. よくあるセグメント拡張エラーとその原因
  3. 具体的なエラー解決方法
  4. RESUMABLE_TIMEOUTで操作中断に対応する方法
  5. 運用効率化のためのベストプラクティス
  6. 監視、チューニング、長期運用の考え方

1. セグメント拡張とは?基本概念の解説

Oracle Databaseでは、データは以下の階層構造で管理されています。

データ格納構造

データベース
├─ 表領域(Tablespace)
│ ├─ セグメント(Segment) -- テーブルやインデックス
│ │ ├─ エクステント(Extent) -- 複数のブロックの集まり
│ │ │ ├─ ブロック(Block) -- データベースの最小単位
  • ブロック(Block): データベースの最小単位。サイズは2KB~32KB。
  • エクステント(Extent): 複数のブロックで構成される領域。
  • セグメント(Segment): テーブルやインデックスなど、データを格納する単位。
  • 表領域(Tablespace): セグメントを格納する物理ストレージ。

セグメント拡張の仕組み

  1. 初期状態(INITIALエクステント)
    初期作成時に指定されたエクステントが割り当てられます。
[エクステント1] [空き領域]
  1. データ増加時(NEXTエクステント)
    必要に応じて新しいエクステントが動的に割り当てられます。
[エクステント1] [エクステント2] [空き領域]
  1. エクステント管理方法
    • AUTOALLOCATE: エクステントサイズをOracleが自動管理します。
    • UNIFORM: サイズを均一に管理します(例: 全て1MB)。

2. セグメント拡張エラーと原因

セグメント拡張エラーが発生する主な原因を、具体例とともに整理しました。

2.1 表領域の空き容量不足

  • 原因: 必要なエクステントサイズ分の空き容量が表領域にない。
  • エラー例:
    ORA-01653: unable to extend table ... in tablespace 'USERS'

2.2 データファイルの自動拡張が無効

  • 原因: データファイルが固定サイズで作成されており、拡張できない。
  • エラー例:
    ORA-01658: unable to create INITIAL extent in tablespace 'USERS'

2.3 ユーザーのクオータ超過

  • 原因: ユーザーが表領域内で使用可能な領域を超えた。
  • エラー例:
    ORA-01536: space quota exceeded for tablespace 'USERS'

2.4 セグメントの最大エクステント数到達

  • 原因: セグメントに割り当てられるエクステント数の上限に達した。
  • エラー例:
    ORA-01631: max # extents (505) reached in table USER_NAME.TABLE_NAME

3. エラー解決方法の具体例

3.1 表領域の空き容量を増やす

  1. 表領域の空き容量を確認する:
    SELECT tablespace_name, bytes/1024/1024 AS free_space_mb FROM dba_free_space;
  2. 表領域を拡張する:
    ALTER DATABASE DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/users01.dbf' RESIZE 500M;
  3. 新しいデータファイルを追加する:
    ALTER TABLESPACE USERS ADD DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/users02.dbf' SIZE 100M AUTOEXTEND ON;

3.2 自動拡張を有効化する

  1. データファイルの設定を確認:
    SELECT file_name, autoextensible, maxbytes/1024/1024 AS max_size_mb FROM dba_data_files;
  2. 自動拡張を有効化する:
    ALTER DATABASE DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/users01.dbf' AUTOEXTEND ON NEXT 50M MAXSIZE UNLIMITED;

3.3 クオータ制限を解除または増加する

  1. ユーザーのクオータを確認する:
    SELECT tablespace_name, max_bytes/1024/1024 AS max_size_mb FROM dba_ts_quotas WHERE username = 'USER_NAME';
  2. クオータを調整する:
    ALTER USER USER_NAME QUOTA 500M ON USERS;
    または制限を解除:
    ALTER USER USER_NAME QUOTA UNLIMITED ON USERS;

3.4 最大エクステント数の制限を解除する

  1. 現在のエクステント数を確認:
    SELECT segment_name, extents, max_extents FROM dba_segments WHERE segment_name = 'TABLE_NAME';
  2. 制限を解除または増加:
    ALTER TABLE TABLE_NAME STORAGE (MAXEXTENTS UNLIMITED);

4. RESUMABLE_TIMEOUTで操作中断を防ぐ

4.1 RESUMABLEモードの設定

システム全体で設定:

ALTER SYSTEM SET RESUMABLE_TIMEOUT = 3600; -- 1時間

セッション単位で設定:

ALTER SESSION ENABLE RESUMABLE TIMEOUT 600; -- 10分

5. 運用のベストプラクティス

  1. 定期的な監視
    • 表領域の空き容量、データファイルの状態、ユーザークオータを確認。
  2. ローカル管理表領域(LMT)を利用
    • AUTOALLOCATEまたはUNIFORMを使用し、手動管理の負担を軽減。
  3. RESUMABLEモードを活用
    • バッチ処理や大量データ操作時に特に有効。

6. 長期運用のためのチューニング

  • エクステントサイズの適切な設定: 小さすぎると頻繁な拡張が発生、大きすぎるとディスクスペースの浪費。
  • ストレージパラメータの調整:sqlコードをコピーするCREATE TABLE example_table ( id NUMBER, name VARCHAR2(50) ) STORAGE (INITIAL 64K NEXT 64K MAXEXTENTS UNLIMITED);

7. まとめ

本記事では、セグメント拡張の基本からエラー対応、運用のベストプラクティスを詳細に解説しました。

  • エラー原因を特定し、迅速に対応するスキルを習得
  • RESUMABLEモードや自動管理の活用で運用負荷を軽減
  • プロアクティブな監視とチューニングでトラブルを未然に防止


[参考]
Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド 19c

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