スカラー副問い合わせとは
スカラー副問い合わせ(Scalar Subquery)とは、SQL文の中で1行1列の値を返す副問い合わせのことです。この特性により、主問い合わせの特定の値として直接使用でき、SQL文を柔軟に記述するための強力な手段となります。
スカラー副問い合わせの主な特徴は次の通りです:
- 1行1列の結果を返す必要がある。
- 主にSELECT句、WHERE句、ORDER BY句、HAVING句などで使用される。
- クエリ内にネストされて記述される。
- 単純な計算や条件分岐を実現する際に有用。
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スカラー副問い合わせの基本構文
スカラー副問い合わせの基本構文は以下の通りです:
SELECT 列名, (SELECT 列名 FROM テーブル名 WHERE 条件) AS 別名
FROM テーブル名;
この構文では、副問い合わせが1行1列の結果を返し、その結果が主問い合わせで使用されます。
スカラー副問い合わせの実用例
以下の例では、スカラー副問い合わせを活用して各従業員の給与を部門の平均給与と比較する方法を示します。
準備:テーブル作成とデータ挿入
まず、データベースに必要なテーブルを作成し、サンプルデータを挿入します。
CREATE TABLE employees (
emp_id NUMBER PRIMARY KEY,
emp_name VARCHAR2(50),
dept_id NUMBER,
salary NUMBER
);
INSERT INTO employees VALUES (1, '田中 太郎', 1, 300000);
INSERT INTO employees VALUES (2, '山田 花子', 1, 350000);
INSERT INTO employees VALUES (3, '佐藤 次郎', 2, 400000);
INSERT INTO employees VALUES (4, '鈴木 一郎', 2, 450000);
CREATE TABLE departments (
dept_id NUMBER PRIMARY KEY,
dept_name VARCHAR2(50)
);
INSERT INTO departments VALUES (1, '営業部');
INSERT INTO departments VALUES (2, '開発部');
クエリ例1:給与と部門平均給与の比較
以下のクエリでは、各従業員の給与とその所属部門の平均給与を取得します。
SELECT
emp_name,
salary,
(SELECT AVG(salary)
FROM employees e2
WHERE e2.dept_id = e1.dept_id) AS avg_salary
FROM employees e1;
実行結果
| emp_name | salary | avg_salary |
|---|---|---|
| 田中 太郎 | 300000 | 325000 |
| 山田 花子 | 350000 | 325000 |
| 佐藤 次郎 | 400000 | 425000 |
| 鈴木 一郎 | 450000 | 425000 |
この例では、副問い合わせが各行に対してその部門の平均給与を動的に計算しています。
クエリ例2:条件式でのスカラー副問い合わせ
次のクエリでは、給与が部門の平均給与を上回っている従業員を取得します。
SELECT emp_name, salary
FROM employees e1
WHERE salary > (SELECT AVG(salary)
FROM employees e2
WHERE e2.dept_id = e1.dept_id);
実行結果
| emp_name | salary |
| 山田 花子 | 350000 |
| 鈴木 一郎 | 450000 |
クエリ例3:列の動的取得
スカラー副問い合わせを活用し、従業員テーブルと部門テーブルを結合せずに動的に部門名を取得します。
SELECT
emp_name,
salary,
(SELECT dept_name FROM departments d WHERE d.dept_id = e.dept_id) AS dept_name
FROM employees e;
実行結果
| emp_name | salary | dept_name |
| 田中 太郎 | 300000 | 営業部 |
| 山田 花子 | 350000 | 営業部 |
| 佐藤 次郎 | 400000 | 開発部 |
| 鈴木 一郎 | 450000 | 開発部 |
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注意点とベストプラクティス
注意点
- 結果が1行1列であること
- スカラー副問い合わせは1行1列以上の結果を返すとエラーになります。
- 性能への影響
- 副問い合わせは行ごとに実行されるため、大量データではパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
- 必要に応じてJOIN句やWITH句(共通表式)を使用して効率を改善します。
- エラー対策
- NULL値が返る可能性がある場合は、NVL関数などを活用してNULL値を適切に処理します。
ベストプラクティス
- 最適化の考慮: スカラー副問い合わせの使用はシンプルで便利ですが、大量データを扱う場合はパフォーマンスに注意しましょう。必要に応じて事前集計やインデックスを活用してください。
- コードの可読性: 複雑なスカラー副問い合わせを使用する場合、コメントやビューを活用して可読性を向上させましょう。
- テストと検証: 副問い合わせの結果が正確であることを確認するため、十分なテストを行いましょう。
まとめ
スカラー副問い合わせは、SQLの柔軟性を高める強力な機能です。適切に使用することで、動的な値の取得や条件分岐を簡単に実現できます。ただし、性能や設計に注意を払い、適切な場面で使用することが重要です。この記事を参考に、スカラー副問い合わせを実践で活用してみてください!
[参考]
Oracle Database SQL言語リファレンス 19c
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