はじめに
Oracle ASM(Automatic Storage Management)は、データベースのストレージ管理を効率化し、高可用性を実現するストレージ管理ソリューションです。ASM環境では、メタデータの損失や破損が発生すると、ディスクグループが利用できなくなる可能性があります。そのため、ASMのメタデータバックアップは、障害対応において非常に重要な要素となります。
本記事では、ASMのメタデータバックアップの詳細な方法とリストア手順、ベストプラクティス、トラブルシューティングについて詳しく解説します。
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1. ASMメタデータとは?
ASMのメタデータは、ASMが管理するストレージ情報やディスクグループの設定、アロケーション情報などを指します。具体的には以下の情報が含まれます。
| メタデータの種類 | 説明 |
|---|---|
| ディスクグループ構成 | ディスクグループの名称、構成ディスク、冗長性情報など |
| ディスクメンバーシップ | どのディスクがどのディスクグループに属するかの情報 |
| ファイル構造情報 | ASMファイルやディレクトリの構造 |
| ディスクのアロケーション | データがどのように分散されているかの情報 |
| テンプレート情報 | ASMファイルのストレージ属性を決定するテンプレート情報 |
| 属性情報 | ASMディスクグループの設定情報(AUサイズ、冗長性など) |
メタデータが破損すると、ディスクグループが認識されず、データベースが起動しない可能性があります。
2. ASMのメタデータバックアップ方法
2.1 md_backup を使用したバックアップ
Oracle 11g以降では、ASMのメタデータをバックアップするために md_backup コマンドを使用できます。
md_backup の基本的な実行方法
asmcmd md_backup -b /backup/asm_metadata.bkp
このコマンドにより、ASMの全ディスクグループのメタデータが /backup/asm_metadata.bkp に保存されます。
[grid@restart ~]$ asmcmd md_backup -b /home/grid/backup/asm_metadata.bkp
WARNING:option 'b' is deprecated for 'md_backup'
Disk group metadata to be backed up: DATA
Current alias directory path: V19/PARAMETERFILE
Current alias directory path: ASM
Current alias directory path: ASM/ASMPARAMETERFILE
Current alias directory path: V19/ONLINELOG
Current alias directory path: V19/TEMPFILE
Current alias directory path: V19/DATAFILE
Current alias directory path: V19
Current alias directory path: ASM/PASSWORD
Current alias directory path: V19/CONTROLFILE
[grid@restart ~]$ ls -l /home/grid/backup
total 16
-rw-r--r--. 1 grid oinstall 13245 Mar 10 14:26 asm_metadata.bkp ★
md_backup の主要オプション
| オプション | 説明 |
-b <file> | バックアップファイルの出力先 |
-g <diskgroup> | 指定したディスクグループのみバックアップ |
-t <template> | テンプレート情報のバックアップ |
-o <attr> | ディスクグループの属性を含める |
2.2 md_restore を使用したリストア
バックアップしたASMメタデータを復元する場合は、md_restore を使用します。
md_restore の基本的な実行方法
asmcmd md_restore -b /backup/asm_metadata.bkp --full
このコマンドを実行すると、ASMメタデータが復元され、ディスクグループが再構成されます。
md_restore の主要オプション
| オプション | 説明 |
-b <file> | バックアップファイルの指定 |
--full | 完全な復元(ディスクグループの再構成) |
--diskgroup <diskgroup> | 指定したディスクグループのみ復元 |
2.3 kfed を使用したメタデータの確認
ASMのメタデータを手動で確認する場合、kfed コマンドを使用できます。
kfed を使用したメタデータ確認方法
kfed read /dev/oracleasm/disks/DISK1
このコマンドを実行すると、指定したASMディスクのメタデータ情報を確認できます。
3. ASMメタデータバックアップのベストプラクティス
3.1 定期的なバックアップの実施
- 毎週1回以上の頻度で
md_backupを実行し、メタデータを取得する - 変更が発生した際(ディスクグループの追加や変更)には即座にバックアップを実施する
3.2 バックアップデータの安全な保管
- ASMディスクグループ内ではなく、外部ストレージ(NFSや別のサーバ)に保存する
- 複数の異なるストレージにバックアップを保持することで、リスクを分散する
3.3 リストアの事前テスト
- バックアップしたメタデータを使用し、リカバリ手順を事前にテストする
- リストアが正常に機能するか確認し、手順をドキュメント化する
4. トラブルシューティング
ASMメタデータのバックアップや復元時に発生する可能性のある問題と解決策を紹介します。
4.1 md_backup 実行時のエラー
エラー例:
ORA-15032: not all alterations performed
解決策:
- ASMインスタンスが起動していることを確認する。
- ASMディスクグループがマウントされているか確認する。
4.2 md_restore 実行時のエラー
エラー例:
ORA-15042: ASM disk "DISK1" is missing
解決策:
- ASMディスクが物理的に接続されていることを確認する。
/dev/oracleasm/disks/の中にディスクが存在するか確認する。
5. まとめ
- ASMのメタデータは、ディスクグループの構成やデータ配置に関する重要な情報を含むため、定期的なバックアップが必須
md_backupを使用してメタデータを取得し、md_restoreによるリカバリ手順を理解することが重要- バックアップデータはASM外部に保存し、定期的にリストアのテストを行うことで確実なリカバリを実現
kfedを活用して、ASMメタデータを直接確認し、障害発生時のトラブルシューティングに活かす
ASM環境を安全に運用するために、適切なバックアップ戦略を確立し、トラブル時にも迅速に対応できるようにしておきましょう。
[参考]
Oracle Database バックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド 19c
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