トレースファイルの命名規則を理解しよう|初心者向け解説

ADR(自動診断リポジトリ)

Oracle Databaseでは、障害解析やパフォーマンス調査のためにトレースファイル(trace file)が自動または手動で生成されます。
本記事では、そのトレースファイルの命名規則
について解説し、どのようにファイル名から内容を推測できるかを紹介します。

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✅ トレースファイルとは?

トレースファイルは、以下のような場面で生成されます:

  • エラー発生時(ORA-00600、ORA-07445など)
  • ユーザーが明示的にSQLトレースを有効化した場合
  • DUMP系イベントや10046イベント使用時
  • アラートログからの誘導によって確認されることが多い

🗂 トレースファイルの格納場所

通常、トレースファイルはADR(Automatic Diagnostic Repository)配下の以下のディレクトリに格納されます。

$ORACLE_BASE/diag/rdbms/<DB_NAME>/<SID>/trace/

例:

/u01/app/oracle/diag/rdbms/orcl/orcl/trace/

🧩 トレースファイルの命名規則

トレースファイルのファイル名は、以下のような形式になります:

<SID>_<プロセスタイプ>_<オペレーティングシステムプロセスID>.trc

🔍 命名規則の構造

項目内容
<SID>Oracleインスタンス名(例:orcl
<プロセスタイプ>サーバープロセスやバックグラウンドプロセス名
<OSプロセスID>オペレーティングシステム上のPID
.trcトレースファイルの拡張子

📝 具体例

以下に典型的なトレースファイル名の例とその意味を解説します。

orcl_ora_12345.trc
orcl_pmon_6789.trc
orcl_dia0_2468.trc
ファイル名内容
orcl_ora_12345.trc一般ユーザーセッションのトレースファイル
orcl_pmon_6789.trcPMON(プロセスモニタ)バックグラウンドプロセスのトレース
orcl_dia0_2468.trcDIA0(診断プロセス)のトレースファイル

[参考]
バックグラウンド・プロセス

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📄 テキスト図でイメージ理解!

トレースファイル名の構造
┌────┬──────┬─────────────┬────┐
│SID │種別 │プロセスID │拡張子│
├────┼──────┼─────────────┼────┤
│orcl│pmon │6789 │.trc │
└────┴──────┴─────────────┴────┘
例:orcl_pmon_6789.trc

📌 補足:ユーザープロセスのトレース確認方法

-- 現在のセッションのトレースファイル名を確認するSQL
SELECT s.sid, s.serial#, p.spid, t.value AS trace_file
FROM v$session s
JOIN v$process p ON s.paddr = p.addr
JOIN v$diag_info t ON t.name = 'Default Trace File'
WHERE s.audsid = USERENV('SESSIONID');

このSQLで、自分のセッションが出力したトレースファイル名とパスを確認できます。

SQL> SELECT s.sid, s.serial#, p.spid, t.value AS trace_file
2 FROM v$session s
3 JOIN v$process p ON s.paddr = p.addr
4 JOIN v$diag_info t ON t.name = 'Default Trace File'
5 WHERE s.audsid = USERENV('SESSIONID');

SID SERIAL# SPID TRACE_FILE
---------- ---------- -------------------- ------------------------------------------------------------
1 60196 5296 /u01/app/oracle/diag/rdbms/v19/v19/trace/v19_ora_5296.trc

🔚 まとめ

  • トレースファイル名にはSIDプロセスタイプOSプロセスIDが含まれる
  • .trcがトレースファイル、.trmはそのメタ情報
  • アラートログやv$diag_infoからパスを確認できる

トレースファイルは、Oracleの内部動作やトラブルシューティングの鍵となる情報が詰まったファイルです。命名規則を知っておくだけで、どのセッション・プロセスが出力したファイルかをすばやく判断できるようになります。

[参考]
9 問題の診断と解決

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