~仕組みと冗長化を図で解説!~
Oracle ASM(Automatic Storage Management)は、Oracleデータベース専用のストレージ管理機能です。特にOracle RACやOracle Restart環境で使われ、ストレージの可用性とパフォーマンスを高める役割を果たします。
本記事では、ASMの概要と「冗長化」の仕組みについて、図を交えて分かりやすく解説します。
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■ Oracle ASMとは?
Oracle ASMは、Oracleが提供するストレージ仮想化の技術です。ディスクをまとめて「ディスクグループ」として管理し、その上にデータファイル、REDOログ、制御ファイルなどを配置できます。
主な特徴:
- ディスクの追加・削除・再配置(リバランス)が自動
- 冗長性(ミラーリング)によるデータ保護が可能
- Oracle専用のI/O最適化
■ ASMの構成イメージ
+---------------------------+
| Oracle Database |
| └─ データファイル群 |
+------------+--------------+
↓
+---------------------------+
| ASMインスタンス |
+------------+--------------+
↓
+---------------------------+
| ディスクグループ (+DATA) |
| ├─ ASMディスク DISK1 |
| └─ ASMディスク DISK2 |
+---------------------------+
- ASMはOSのファイルシステムを使わず、ディスクを直接制御します。
- ASMインスタンスは、データベースとは独立して動作します。
■ ASMの冗長性(ミラーリング)
ASMでは、ストレージ障害に備えて冗長化(ミラーリング)を設定できます。以下の3種類があります。
| モード | 内容 |
|---|---|
| EXTERNAL | ミラーなし。外部ストレージ側で冗長性を確保している場合に使用 |
| NORMAL | 2重ミラー(2枚のディスクにデータを格納) |
| HIGH | 3重ミラー(3枚のディスクにデータを格納) |
■ 冗長化のイメージ図(テキスト形式)
◾ NORMAL冗長(2重ミラー)
+-----------------------+
| Oracle DB |
+-----------------------+
↓
ASMディスクグループ(+DATA)
↓
┌──────────────┬──────────────┐
│ DISK1 │ DISK2 │
│ [ブロックA] │ [ブロックA] │ ← ミラーリング
│ [ブロックB] │ [ブロックB] │ ← ミラーリング
└──────────────┴──────────────┘
- 同じデータが2つのディスクに格納され、どちらかが故障しても継続運用が可能です。
◾ HIGH冗長(3重ミラー)
+--------------------------+
| Oracle DB |
+--------------------------+
↓
ASMディスクグループ(+FRA)
↓
┌────────────┬────────────┬────────────┐
│ DISK1 │ DISK2 │ DISK3 │
│ [ブロックA] │ [ブロックA] │ [ブロックA] │ ← 3重ミラー
│ [ブロックB] │ [ブロックB] │ [ブロックB] │
└────────────┴────────────┴────────────┘
- データが3箇所にコピーされ、より強力な耐障害性を持ちます。
- 使用ディスク容量は増えるため、コストとのバランスが必要です。
■ ASMの起動・停止(Oracle Restart環境)
Restart構成では、Grid Infrastructure(HAS)でASMを管理します。
起動:
$ crsctl start has
このコマンドで、ASM・リスナー・Oracleインスタンスが自動で起動します。
停止:
$ crsctl stop has
■ ASMを使うメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 自動リバランス | ディスク追加・削除後のデータ再配置が自動 |
| 高可用性 | ディスク障害時も継続運用(NORMAL/HIGH冗長時) |
| 運用簡素化 | Oracle専用の構成でDBAに馴染みやすい |
| ストレージの一元管理 | ファイル単位ではなくディスクグループ単位で管理可能 |
■ 注意点
- ASMディスクはOS側で専用の設定が必要です。
- ASMはOracleインストール前に構成しておく必要があります。
- リバランス中はI/O性能に一時的な影響が出ることがあります。
■ まとめ
Oracle ASMは、データベースに最適化されたストレージ管理機構であり、特に可用性と運用効率に優れた機能です。
RACやRestart構成では事実上の標準構成であり、ASMの理解はOracle DBAにとって必須といえるでしょう。
[参考]
Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド




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