Oracleデータベースのバックアップとリカバリを管理するためのツールであるRecovery Manager(RMAN)では、バックアップ情報を管理する方法として「ターゲットデータベースの制御ファイル」と「リカバリカタログ」の2種類が利用できます。本記事では、リカバリカタログについて初心者向けに詳しく解説します。
💰 【PR】Oracleエンジニアの市場価値、調べてみませんか?
Oracleのスキルは需要が高く、特定の資格や経験を持っていると年収が大幅にアップするケースがあります。まずはIT専門のエージェントで非公開求人をチェックしてみませんか?
1. リカバリカタログとは?
リカバリカタログ(Recovery Catalog)とは、RMANが取得したバックアップ情報やリカバリ情報を保存するための専用データベースのことです。通常の制御ファイルだけでもバックアップ情報を管理できますが、制御ファイルには以下のような制限があります。
- バックアップ情報の保持期間が制限される(制御ファイルのサイズによる)
- ターゲットデータベースがクラッシュするとバックアップ情報が失われる可能性がある
- 複数のデータベースのバックアップ情報を一元管理できない
リカバリカタログを使用することで、これらの制限を回避し、より安全で効率的なバックアップ管理が可能になります。
2. リカバリカタログのメリット
リカバリカタログを使用すると、以下のような利点があります。
2.1 バックアップ情報の長期保存
制御ファイルではなく専用データベースに保存されるため、バックアップ情報を無期限に保持可能です。
2.2 複数データベースのバックアップを一元管理
複数のターゲットデータベースのバックアップ情報をリカバリカタログに保存し、一元管理できます。
2.3 履歴情報の活用
過去のバックアップ履歴を参照して、適切なリストアポイントを選択でき、復旧の精度を高められます。
2.4 制御ファイル破損時の保護
ターゲットデータベースの制御ファイルが壊れても、リカバリカタログがあればバックアップ情報を保持できるため、復旧が可能です。
2.5 追加機能の利用
- スクリプトの管理:リカバリカタログにRMANスクリプトを保存可能
- レポートの生成:詳細なバックアップレポートを取得可能
- フラッシュバックの活用:データの過去の状態を参照しやすい
3. リカバリカタログの作成手順
3.1 リカバリカタログ用のデータベース作成
リカバリカタログはターゲットデータベースとは別のデータベースに作成する必要があります。通常、専用のリカバリカタログ用データベース(Catalog Database)を作成し、そこにリカバリカタログを構築します。
3.2 リカバリカタログ用のユーザー作成
CREATE USER rcat IDENTIFIED BY password;
GRANT CONNECT, RESOURCE, RECOVERY_CATALOG_OWNER TO rcat;
3.3 リカバリカタログの作成
rman catalog rcat/password@catalogdb
RMAN> CREATE CATALOG;
4. リカバリカタログの登録と使用
4.1 ターゲットデータベースの登録
ターゲットデータベースをリカバリカタログに登録するには、以下のコマンドを実行します。
rman target / catalog rcat/password@catalogdb
RMAN> REGISTER DATABASE;
4.2 バックアップの取得
ターゲットデータベースのバックアップを取得する場合、通常のRMANバックアップと同じように実行できます。
RMAN> BACKUP DATABASE;
4.3 バックアップの管理
バックアップの管理には、以下のコマンドを使用できます。
RMAN> LIST BACKUP; -- バックアップ一覧を表示
RMAN> DELETE BACKUP; -- 古いバックアップを削除
5. リカバリカタログのメンテナンス
5.1 再同期(Resynchronization)
リカバリカタログの情報を最新の状態に保つためには、再同期を行う必要があります。
RMAN> RESYNC CATALOG;
5.2 古いバックアップ情報の削除
不要になったバックアップ情報を削除することで、リカバリカタログのサイズを管理できます。
RMAN> DELETE EXPIRED BACKUP;
5.3 リカバリカタログの移行と削除
- 移行:新しいデータベースへリカバリカタログを移行する方法を紹介。
- 削除:不要になったリカバリカタログの削除方法を詳しく解説。
6. リカバリカタログを使用したリストアの実例
具体的なリストア手順を紹介し、リカバリカタログの有用性を強調。
RMAN> RESTORE DATABASE;
RMAN> RECOVER DATABASE;
7. リカバリカタログのベストプラクティス
- 定期的な同期を実施
- リカバリカタログのバックアップを取得
- 適切な権限管理を行う
8. まとめ
リカバリカタログを利用することで、長期的なバックアップ管理や制御ファイル破損時のリカバリを強化できます。特に複数のデータベースを管理する環境では、リカバリカタログを使用することでバックアップの一元管理が可能になり、復旧の信頼性が向上します。
次回の記事では、リカバリカタログの詳細な運用管理について詳しく解説します。
[参考]
Oracle Database バックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド 19c




コメント