Oracle Data Pump完全ガイド：仕組みと使い方、SCOTTスキーマ導入から実行例まで徹底解説

Oracle Databaseを効率的にバックアップ・移行する際に活用されるツールが「Oracle Data Pump」です。この記事では、SCOTTスキーマの導入からexpdp / impdp の実行例、補足手順（ディレクトリ作成・権限付与）まで初心者にも分かりやすく解説します。

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Data Pumpとは？
従来のexp/impとの違い
構成図（概略）
なぜSCOTTスキーマをインストールするのか？
SCOTTスキーマのインストール手順
Data Pump実行前の準備
1. 1. Data Pump用ディレクトリの作成（OS上）
2. 2. Oracle上でディレクトリオブジェクト作成
expdp 実行例（スキーマ全体）
expdp 実行例（特定表のみ）
impdp 実行例（ダンプファイルをインポート）
impdp 実行例（スキーマ名を変更）
よく使うオプション一覧
まとめ

Data Pumpとは？

Oracle Data Pumpは、Oracle 10g以降で提供されているデータのエクスポート/インポート機能です。

機能	コマンド
エクスポート	expdp
インポート	impdp

従来のexp/impとの違い

比較項目	Data Pump	従来のexp/imp
処理場所	サーバーサイド	クライアントサイド
並列処理	対応	非対応
ネットワーク転送	対応（NETWORK_LINK）	非対応
フィルタ機能	柔軟（WHERE句等）	制限あり

構成図（概略）

┌────────┐    expdp     ┌────────┐
│ Oracle DB1 │ ───────→ │ dumpファイル│
└────────┘             └────────┘
                                     ↓ impdp
                               ┌────────┐
                               │ Oracle DB2 │
                               └────────┘

なぜSCOTTスキーマをインストールするのか？

SCOTTスキーマは、Oracle Databaseにおけるサンプルスキーマの一つで、教育・学習・動作確認・実験用途に適しています。あらかじめ定義されたシンプルな表構造（EMP, DEPT, BONUS, SALGRADEなど）が用意されており、Data Pumpなどの機能検証に最適です。

SCOTTスキーマを導入することで、以下のような利点があります：

実際の業務データを使用せずに、安全にテストや検証ができる
Oracle公式資料でも使用されているため、情報が豊富
初心者がSQLやバックアップの実践練習を行うのに適している

SCOTTスキーマのインストール手順

Oracle提供のdemobld.sqlスクリプトを使用

$ sqlplus / as sysdba
SQL> @?/rdbms/admin/utlsampl.sql

Data Pump実行前の準備

1. Data Pump用ディレクトリの作成（OS上）

--oracle ユーザー
$ mkdir -p /u01/app/oracle/dpdump

※ディレクトリ権限が足りずディレクトリが作成できない場合は root で実行

--root ユーザー
# mkdir -p /u01/app/oracle/dpdump
# chown oracle:oinstall /u01/app/oracle/dpdump

Windows の場合は手動で Data Pump で使用するフォルダを作成。
例) C:\Users\dpdump

2. Oracle上でディレクトリオブジェクト作成

CREATE OR REPLACE DIRECTORY dp_dir AS '/u01/app/oracle/dpdump';
GRANT READ, WRITE ON DIRECTORY dp_dir TO scott;

expdp 実行例（スキーマ全体）

expdp scott/tiger DIRECTORY=dp_dir DUMPFILE=scott.dmp LOGFILE=scott.log SCHEMAS=scott

expdp 実行例（特定表のみ）

expdp scott/tiger DIRECTORY=dp_dir DUMPFILE=emp.dmp LOGFILE=emp.log TABLES=emp

impdp 実行例（ダンプファイルをインポート）

impdp scott/tiger DIRECTORY=dp_dir DUMPFILE=scott.dmp LOGFILE=scott_imp.log

impdp 実行例（スキーマ名を変更）

impdp scott/tiger DIRECTORY=dp_dir DUMPFILE=scott.dmp LOGFILE=remap.log REMAP_SCHEMA=scott:scott_test

よく使うオプション一覧

オプション	内容
SCHEMAS	スキーマ単位でエクスポート
TABLES	テーブル単位でエクスポート
QUERY	WHERE句で抽出条件を指定
REMAP_SCHEMA	スキーマ名の置き換え
PARALLEL	並列処理の設定
EXCLUDE/INCLUDE	オブジェクトの絞り込み