EM Expressは、Oracle Database 12c以降で利用できる軽量のデータベース管理ツールです。ブラウザベースのインターフェースを提供し、データベースの状態を監視したり、簡単な設定変更を行うことができます。インストール不要で、データベースと一緒に標準で提供されています。
また、DBCAでの構成ではなく手動で構成する場合は以下もご確認ください。
2. EM Expressの構成手順
前提条件
- Oracle Databaseソフトウェアがインストールされていること
- DBCAを利用してデータベースを作成するか、既存のデータベースがあること
構成手順
- DBCAを起動する
- OracleホームディレクトリからDBCAを起動します。
$dbca
- OracleホームディレクトリからDBCAを起動します。
- データベースの作成または構成の選択
- DBCAの最初の画面で、「データベースの作成」または「既存データベースの構成」を選択します。
- データベース管理の選択
- データベースの作成時に、「データベース管理オプション」の画面が表示されます。ここで「Enterprise Manager Database Express」を選択します。これにより、EM Expressが自動的に構成されます。
- リスナーポートの確認
- EM Expressはデフォルトでリスナーポート1521番を使用します。ネットワーク設定を確認し、このポートがファイアウォールでブロックされていないことを確認してください。
- 作成または構成の完了
- 必要な設定を入力してデータベース作成を完了します。作成が完了した後、EM Expressは自動的に有効化されます。
※3.データベース管理の選択画面
3. EM Expressの使用方法
データベースの構成が完了したら、ブラウザを使ってEM Expressにアクセスできます。
1. EM Expressにアクセスする
- ブラウザのアドレスバーに以下の形式でURLを入力します。
https://<ホスト名またはIPアドレス>:5500/em
例:https://localhost:5500/em
https://192.168.56.10:5500/em
ポート「5500」はデフォルトのポートですが、他のポートが使用されている場合はそのポート番号を使用します。
2. データベースユーザーとしてログインする
- SYSやSYSTEMなどのデータベース管理者ユーザーとしてログインします。DBAロールを持つユーザーのみがアクセス可能です。
3. 基本的な操作
- データベースの状態確認: ダッシュボードから現在のデータベースの稼働状態やセッション数、CPU使用率などを確認できます。
- パフォーマンスの監視: 「パフォーマンス」タブでSQL応答時間やアクティブセッションをリアルタイムで監視できます。
- コンフィグレーションの管理: データベース設定やプロファイルを簡単に変更可能です。
4. ユーザーにEM Expressへのアクセス権限を付与する方法
デフォルトでは、DBAロールを持つユーザーのみがEM Expressにアクセスできますが、他のユーザーにもアクセス権限を付与することが可能です。以下は、一般ユーザーにEM Expressのアクセス権限を付与する方法です。
1. 新しいユーザーを作成する
新規ユーザーを作成する場合、以下のコマンドを使用します。CREATE USER em_user IDENTIFIED BY password;
2. 必要なロールを付与する
ユーザーがEM Expressにアクセスできるようにするためには、EM_EXPRESS_BASIC
または EM_EXPRESS_ALL
のロールを付与します。EM_EXPRESS_BASIC
は主に読み取り専用の権限を提供し、EM_EXPRESS_ALL
はフルアクセス権限を持ちます。
読み取り専用アクセスを付与する場合:
GRANT EM_EXPRESS_BASIC TO em_user;
フルアクセスを付与する場合:
GRANT EM_EXPRESS_ALL TO em_user;
3. ユーザーのアクセス確認
ユーザーはEM Expressのログイン画面から作成したユーザー名でログインし、割り当てられたロールに基づいて操作が可能になります。例えば、読み取り専用アクセスを付与された場合は、データベースの監視のみが行えます。
5. よくある質問(FAQ)
Q1: EM Expressのポート番号はどうやって確認できますか?
A1: SQL*Plusを使用して、以下のコマンドで確認できます。SELECT dbms_xdb_config.gethttpsport FROM dual;
Q2: EM Expressにアクセスできない場合の対処法は?
A2: ファイアウォールの設定を確認し、ポート5500が開いているか確認してください。また、リスナープロセスが正しく稼働しているかを確認するために、lsnrctl status
コマンドを使用してください。
6. まとめ
EM Expressは、Oracle Databaseのシンプルで直感的な管理ツールとして、特に小規模なデータベースの監視や簡単な設定変更に非常に有用です。また、ユーザーに対して適切なアクセス権限を付与することで、より柔軟な運用が可能になります。DBCAを使用して簡単に構成でき、ブラウザベースで手軽にアクセスできるため、ぜひ活用してみてください。
[参考]
2日でデータベース管理者
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