Oracleデータベースを使用していると、様々なエラーに直面することがあります。これらのエラーは、システムの設定ミス、クエリの誤り、リソース不足など、さまざまな要因によって引き起こされます。以下に、初心者が遭遇しやすい20個のエラーとその解決方法を紹介します。
1. ORA-00942: table or view does not exist
意味: クエリで指定されたテーブルやビューが見つかりません。
原因:
- テーブルやビューが存在しない、またはアクセス権限が不足しています。
解決策:
- SYSユーザーやスキーマ所有者での確認が必要な場合があります。スキーマ名を正確に指定してアクセスする必要があります。
SYSユーザーでテーブルの確認:
SELECT * FROM dba_tables WHERE table_name = 'YOUR_TABLE_NAME';
特定ユーザーに権限を付与:
GRANT SELECT ON <スキーマ名>.<テーブル名> TO <ユーザー名>;
権限の確認(SYSユーザー):
SELECT * FROM dba_tab_privs WHERE grantee = '<ユーザー名>';
2. ORA-00001: unique constraint violated
意味: 一意制約に違反しています。
解決策:
- 必要に応じて一意制約を確認し、既存の制約に違反しないデータを挿入します。
SYSユーザーで制約の確認:
SELECT constraint_name, column_name
FROM dba_cons_columns
WHERE table_name = '<ユーザー名>' AND constraint_name = '<制約名>';
3. ORA-12154: TNS: could not resolve the connect identifier specified
意味: 接続識別子が正しく解決できません。
解決策:
- 接続識別子を確認し、
tnsnames.ora
ファイルの正しい設定がされているかチェックします。特定の設定がSYSユーザーで行うべき場合もあります。
TNS設定の例(通常のユーザーで実行可能):
vi $ORACLE_HOME/network/admin/tnsnames.ora
リスナーの状態確認(SYSDBA権限):
lsnrctl status
4. ORA-12560: TNS: protocol adapter error
意味: クライアントがサーバに接続できません。
解決策:
- サーバが起動しているか確認します。起動操作はSYSDBA権限が必要です。
SYSユーザーでのサーバ起動:
CONNECT / AS SYSDBA;
STARTUP;
5. ORA-01017: invalid username/password; logon denied
意味: ユーザー名またはパスワードが間違っています。
解決策:
- ユーザーアカウントがロックされている可能性があるため、SYSユーザーでロック解除が必要です。
SYSユーザーでパスワードのリセットとロック解除:
CONNECT / AS SYSDBA;
ALTER USER <ユーザー名> IDENTIFIED BY <新しいパスワード>;
ALTER USER <ユーザー名> ACCOUNT UNLOCK;
6. ORA-04031: unable to allocate bytes of shared memory
意味: SGA(System Global Area)のメモリ不足。
解決策:
- SGAのサイズ変更はSYSDBA権限が必要です。パラメータの変更と再起動が必要です。
SGAサイズの変更(SYSDBA権限):
CONNECT / AS SYSDBA;
SHOW PARAMETER sga_max_size
SHOW PARAMETER sga_target
ALTER SYSTEM SET sga_max_size = <新しいサイズ> SCOPE=SPFILE;
ALTER SYSTEM SET sga_target = <新しいサイズ> SCOPE=SPFILE;
SHUTDOWN IMMEDIATE;
STARTUP;
7. ORA-01555: snapshot too old
意味: UNDOテーブルスペースが不足しています。
解決策:
- UNDOテーブルスペースの拡張はSYSDBA権限で行う必要があります。
SYSユーザーでUNDOテーブルスペースの確認と拡張:
CONNECT / AS SYSDBA;
SELECT tablespace_name, bytes FROM dba_data_files WHERE tablespace_name = 'UNDOTBS1';
ALTER DATABASE DATAFILE '<データファイルのフルパス>' RESIZE <新しいサイズ>;
8. ORA-00933: SQL command not properly ended
意味: SQL文が正しく終了していません。
解決策:
- SQL文の構文を修正します。
9. ORA-01403: no data found
意味: クエリでデータが見つかりません。
解決策:
- データの存在を確認するために、正しいクエリ条件を確認します。
10. ORA-01653: unable to extend table by n in tablespace
意味: テーブルスペースの容量不足。
解決策:
- テーブルスペースの拡張はSYSDBA権限で実行されます。
SYSユーザーでテーブルスペースの拡張:
CONNECT / AS SYSDBA;
ALTER DATABASE DATAFILE '<データファイルのフルパス>' RESIZE <新しいサイズ>;
11. ORA-00904: invalid identifier
意味: SQLで無効な識別子を使用しています。
解決策:
- カラム名の誤りを修正します。
12. ORA-02291: integrity constraint violated – parent key not found
意味: 外部キー制約に違反しています。
解決策:
- 親キーの存在を確認するためにクエリを修正します。
13. ORA-03113: end-of-file on communication channel
意味: 通信チャンネルが切断されました。
解決策:
- 通信状態を確認し、サーバのログを確認します。SYS権限が必要です。
SYSユーザーでサーバログの確認:
tail -f $ORACLE_BASE/diag/rdbms/db_name/alert_db_name.log
14. ORA-01033: Oracle initialization or shutdown in progress
意味: データベースが起動中またはシャットダウン中です。
解決策:
- データベースの状態を確認し、必要に応じて起動操作を実行します。SYSDBA権限が必要です。
SYSユーザーでのデータベース起動:
CONNECT / AS SYSDBA;
STARTUP;
15. ORA-01000: maximum open cursors exceeded
意味: 開いているカーソル数が上限を超えました。
解決策:
- カーソルの上限を増やすためにパラメータを変更します。SYSDBA権限が必要です。
SYSユーザーでカーソル数の変更:
CONNECT / AS SYSDBA;
ALTER SYSTEM SET open_cursors = 3000 SCOPE=BOTH;
16. ORA-01950: no privileges on tablespace
意味: テーブルスペースに対する権限がありません。
解決策:
- SYSユーザーで権限を付与します。
SYSユーザーでの権限付与:
CONNECT / AS SYSDBA;
GRANT UNLIMITED TABLESPACE TO username;
17. ORA-00936: missing expression
意味: SQL文で式が不足しています。
解決策:
- SQL文の正しい記述を確認し修正します。SYS権限は不要です。
18. ORA-06512: at “string”, line number
意味: PL/SQLブロックでエラーが発生しました。
解決策:
- エラーメッセージで指摘された行を確認し、コードを修正します。
19. ORA-00018: maximum number of sessions exceeded
意味: セッション数が上限を超えました。
解決策:
- セッション数の上限を増やすためにSYSDBA権限が必要です。
SYSユーザーでのセッション数の増加:
CONNECT / AS SYSDBA;
ALTER SYSTEM SET SESSIONS=500 SCOPE=SPFILE;
20. ORA-28000: the account is locked
意味: ユーザーアカウントがロックされています。
解決策:
- アカウントのロックを解除するためにSYSDBA権限が必要です。
SYSユーザーでのアカウントロック解除:
CONNECT / AS SYSDBA;
ALTER USER <ユーザー名> ACCOUNT UNLOCK;
[参考]
データベース・エラー・メッセージ
結論
Oracleデータベースの管理やトラブルシューティングには、SYSDBA権限などの高い権限が必要な場合があります。重要なシステム設定やリソースの管理には、適切な権限を持つユーザーで操作を行う必要があるため、SYSユーザーなどでの作業が不可欠です。権限が足りない場合には、管理者に問い合わせるか、SYSユーザーとしてログインして作業を行うことが推奨されます。
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