増分更新バックアップ(Incremental Update Backup)の完全ガイド

Oracle Master Gold

1. 増分更新バックアップとは

増分更新バックアップ(Incremental Update Backup)は、Oracle RMAN(Recovery Manager)を使用した高度なバックアップ手法であり、イメージコピーと増分バックアップを組み合わせることで、常に最新のフルバックアップを維持する仕組みです。

通常の増分バックアップでは、ベースとなるフルバックアップの後に差分バックアップや累積増分バックアップを取得し、リカバリ時にこれらを適用する必要があります。一方、増分更新バックアップでは、最新のイメージコピーに対して増分バックアップを適用(ROLLING FORWARD)することで、フルバックアップを随時更新し、迅速なリカバリを可能にします。

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2. 増分更新バックアップのメリット

  • 即時リカバリが可能:イメージコピーを常に最新の状態に保つため、フルバックアップを取得せずに迅速な復旧が可能。
  • ストレージの最適化:フルバックアップの取得回数を減らし、増分バックアップのみを適用することでディスク使用量を削減。
  • バックアップ時間の短縮:フルバックアップを取得する代わりに、増分バックアップの適用により高速な処理を実現。
  • リカバリ負荷の軽減:リカバリ時に複数の増分バックアップを適用する手間が不要。

3. 増分更新バックアップの設定手順

3.1. 増分バックアップの取得(定期的に実施)

増分レベル1のバックアップを取得し、更新用のバックアップを作成します。

RMAN> BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 FOR RECOVER OF COPY WITH TAG 'INCR_UPDATE' DATABASE;

3.2. イメージコピーへの増分適用(ROLLING FORWARD)

取得した増分バックアップをイメージコピーに適用し、常に最新の状態を維持します。

RMAN> RECOVER COPY OF DATABASE WITH TAG 'INCR_UPDATE';

この手順を定期的に実行することで、フルバックアップを取得せずに最新のイメージコピーが維持されます。

RMAN> BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 FOR RECOVER OF COPY WITH TAG 'INCR_UPDATE' DATABASE;

backupを25-02-20で開始しています
チャネルORA_DISK_1の使用
チャネルORA_DISK_1: 増分レベル1のデータファイル・バックアップ・セットを開始して います
チャネルORA_DISK_1: バックアップ・セットにデータファイルを指定しています
入力データファイル ファイル番号=00001 名前=/u01/app/oracle/oradata/V19/system01.dbf
入力データファイル ファイル番号=00003 名前=/u01/app/oracle/oradata/V19/sysaux01.dbf
入力データファイル ファイル番号=00004 名前=/u01/app/oracle/oradata/V19/undotbs01.dbf
入力データファイル ファイル番号=00005 名前=/u01/app/oracle/oradata/V19/rctbs01.dbf
入力データファイル ファイル番号=00007 名前=/u01/app/oracle/oradata/V19/users01.dbf
チャネルORA_DISK_1: ピース1 (25-02-20)を起動します
チャネルORA_DISK_1: ピース1 (25-02-20)が完了しました
ピース・ハンドル=/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/173ia8cn_39_1_1 タ グ=INCR_UPDATE コメント=NONE
チャネルORA_DISK_1: バックアップ・セットが完了しました。経過時間: 00:00:07
backupを25-02-20で終了しました

Control File and SPFILE Autobackupを25-02-20で開始しています
ピース・ハンドル=/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/c-2957249400-20250220-09 コメント=NONE
Control File and SPFILE Autobackupを25-02-20で終了しました

RMAN> RECOVER COPY OF DATABASE WITH TAG 'INCR_UPDATE';

recoverを25-02-20で開始しています
チャネルORA_DISK_1の使用
チャネルORA_DISK_1: 増分データファイル・バックアップ・セットのリストアを開始しています
チャネルORA_DISK_1: リカバリするデータファイル・コピーを指定しています
リカバリしているデータファイル・コピーのファイル番号=00001 名前=/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/data_D-V19_I-2957249400_TS-SYSTEM_FNO-1_113ia8ah
リカバリしているデータファイル・コピーのファイル番号=00003 名前=/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/data_D-V19_I-2957249400_TS-SYSAUX_FNO-3_123ia8ao
リカバリしているデータファイル・コピーのファイル番号=00004 名前=/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/data_D-V19_I-2957249400_TS-UNDOTBS1_FNO-4_133ia8ar
リカバリしているデータファイル・コピーのファイル番号=00005 名前=/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/data_D-V19_I-2957249400_TS-RCTBS_FNO-5_143ia8au
リカバリしているデータファイル・コピーのファイル番号=00007 名前=/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/data_D-V19_I-2957249400_TS-USERS_FNO-7_153ia8b1
チャネルORA_DISK_1: バックアップ・ピース/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/173ia8cn_39_1_1から読取り中です
チャネルORA_DISK_1: ピース・ハンドル=/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/173ia8cn_39_1_1 タグ=INCR_UPDATE
チャネルORA_DISK_1: バックアップ・ピース1がリストアされました
チャネルORA_DISK_1: リストアが完了しました。経過時間: 00:00:02
recoverを25-02-20で終了しました

Control File and SPFILE Autobackupを25-02-20で開始しています
ピース・ハンドル=/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/c-2957249400-20250220-0a コメント=NONE
Control File and SPFILE Autobackupを25-02-20で終了しました

RMAN>

3.3. リストアとリカバリの実行(障害発生時)

障害時には、イメージコピーを使用して迅速にリストアとリカバリを行います。

RMAN> shutdown immediate
RMAN> startup mount;
RMAN> SWITCH DATABASE TO COPY;
RMAN> RECOVER DATABASE;
RMAN> alter database open;
RMAN> shutdown immediate

データベースがクローズしました
データベースがディスマウントされました。
Oracleインスタンスがシャットダウンしました

RMAN> startup mount;

ターゲット・データベースに接続しました(起動していません)。
Oracleインスタンスが起動しました
データベースがマウントされました。

システム・グローバル領域の合計は、 1543500120バイトです。

Fixed Size 8925528バイト
Variable Size 889192448バイト
Database Buffers 637534208バイト
Redo Buffers 7847936バイト

RMAN> SWITCH DATABASE TO COPY;

データファイル1はデータファイル・コピー"/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/data_D-V19_I-2957249400_TS-SYSTEM_FNO-1_113ia8ah"に切り替えられました
データファイル3はデータファイル・コピー"/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/data_D-V19_I-2957249400_TS-SYSAUX_FNO-3_123ia8ao"に切り替えられました
データファイル4はデータファイル・コピー"/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/data_D-V19_I-2957249400_TS-UNDOTBS1_FNO-4_133ia8ar"に切り替えられました
データファイル5はデータファイル・コピー"/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/data_D-V19_I-2957249400_TS-RCTBS_FNO-5_143ia8au"に切り替えられました
データファイル7はデータファイル・コピー"/u01/app/oracle/product/19.0.0/dbhome_1/dbs/data_D-V19_I-2957249400_TS-USERS_FNO-7_153ia8b1"に切り替えられました

RMAN> RECOVER DATABASE;

recoverを25-02-20で開始しています
チャネル: ORA_DISK_1が割り当てられました
チャネルORA_DISK_1: SID=37 デバイス・タイプ=DISK

メディア・リカバリを開始しています
メディア・リカバリが完了しました。経過時間: 00:00:01

recoverを25-02-20で終了しました

RMAN> alter database open;

文が処理されました

RMAN> select status from v$instance;

STATUS
------------
OPEN

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4. 増分更新バックアップの運用例

増分更新バックアップを効果的に運用するためのスケジュール例を示します。

曜日バックアップ内容
日曜日フルバックアップ(イメージコピー作成)
月曜日増分レベル1適用(イメージコピー更新)
火曜日増分レベル1適用(イメージコピー更新)
水曜日増分レベル1適用(イメージコピー更新)
木曜日増分レベル1適用(イメージコピー更新)
金曜日増分レベル1適用(イメージコピー更新)
土曜日増分レベル1適用(イメージコピー更新)

この運用を行うことで、最新のフルバックアップが維持され、復旧時間を大幅に短縮できます。


5. ベストプラクティス

5.1. 適切なストレージの確保

  • イメージコピーの保存先には十分なディスク容量を確保する。
  • 増分バックアップの保持期間を考慮し、適切なディスク管理を行う。

5.2. 自動化の導入

  • CRONDBMS_SCHEDULER を利用して増分バックアップの適用を自動化。
  • RMANスクリプトを活用し、定期的なバックアップと適用を自動実行。

5.3. 定期的なリストアテスト

  • 障害発生時のために、定期的にバックアップデータをリストアし、リカバリの検証を実施。
  • RESTORE DATABASE VALIDATE コマンドを利用してバックアップの整合性を確認。
RMAN> RESTORE DATABASE VALIDATE;

5.4. アーカイブログ管理

  • 増分更新バックアップはアーカイブログモードでの運用が必須。
  • アーカイブログの適切な管理を行い、ストレージの過負荷を防ぐ。
RMAN> DELETE ARCHIVELOG ALL COMPLETED BEFORE 'SYSDATE-7';

6. まとめ

増分更新バックアップは、増分バックアップとイメージコピーを組み合わせた効率的なバックアップ手法です。フルバックアップを繰り返し取得せずに、最新の状態を維持できるため、バックアップ時間の短縮、ストレージの最適化、迅速なリカバリが可能になります。

本記事で紹介した手順とベストプラクティスを活用し、安定したバックアップ運用を実現しましょう。

[参考]
Oracle Database バックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド 19c

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