Oracle Recovery Manager(RMAN)では、バックアップのパフォーマンスを向上させるためにパラレルバックアップを使用できます。これにより、複数のチャネルを利用してバックアップを同時に実行することで、処理時間を短縮できます。
本記事では、以下の2つの方法について詳しく解説します。
- 手動チャンネル割り当て
- 自動チャンネル割り当て
それぞれのメリット・デメリットを比較し、最適な運用方法を提案します。
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1. 手動チャンネル割り当てによるパラレルバックアップ
手動でRMANのチャンネルを複数割り当てることで、バックアップを並列実行できます。
手動チャンネル割り当てのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 細かい制御が可能 | 設定の都度記述が必要 |
| 一時的なバックアップ実行に向いている | 手動でチャンネルを割り当てる必要がある |
| バックアップ対象に応じて動的に調整可能 | スクリプトの保守が煩雑になる可能性 |
設定手順
- RMANを起動
ALLOCATE CHANNELコマンドを使用して複数のチャンネルを割り当てBACKUP DATABASEコマンドでバックアップを実行- チャンネルの解放
実行例
RMAN> CONNECT TARGET /
RMAN> RUN {
ALLOCATE CHANNEL ch1 DEVICE TYPE DISK;
ALLOCATE CHANNEL ch2 DEVICE TYPE DISK;
ALLOCATE CHANNEL ch3 DEVICE TYPE DISK;
BACKUP DATABASE;
RELEASE CHANNEL ch1;
RELEASE CHANNEL ch2;
RELEASE CHANNEL ch3;
}
ポイント:
ALLOCATE CHANNELにより複数のチャンネルを割り当てることで、バックアップの並列処理が可能になります。RELEASE CHANNELで使用後にチャンネルを解放します。- チャンネル数を増やすことで、バックアップ速度を向上させることができます。
2. 自動チャンネル割り当てによるパラレルバックアップ
RMANのCONFIGUREコマンドを使用して、あらかじめチャンネルの並列数を設定することで、自動的にチャンネルを割り当てられます。
自動チャンネル割り当てのメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
| 一度設定すれば自動的に適用 | 手動で細かく調整できない |
| 運用が簡単で定期バックアップに適している | 一時的な調整には不向き |
| スクリプトがシンプルになる | 事前に設定が必要 |
設定手順
- RMANでチャンネルを並列化する設定を行う
BACKUP DATABASEコマンドを実行
実行例
RMAN> CONNECT TARGET /
RMAN> CONFIGURE DEVICE TYPE DISK PARALLELISM 3;
RMAN> BACKUP DATABASE;
ポイント:
CONFIGURE DEVICE TYPE DISK PARALLELISM 3;により並列処理のチャンネル数を設定BACKUP DATABASE;を実行するだけで自動的に並列バックアップが実施されるSHOW ALL;コマンドで現在の設定を確認可能
3. 手動チャンネル割り当てと自動チャンネル割り当ての比較
| 方法 | 設定方法 | 柔軟性 | 適用シナリオ |
| 手動チャンネル割り当て | ALLOCATE CHANNEL コマンドを都度指定 | 高い | 一時的な並列バックアップ |
| 自動チャンネル割り当て | CONFIGURE コマンドで事前設定 | 低い | 定期的な並列バックアップ |
- 手動チャンネル割り当ては、一時的なバックアップの並列実行に適しています。
- 自動チャンネル割り当ては、定期的なバックアップの自動化に便利です。
- 短期的な制御が必要な場合は手動、長期運用では自動が適しています。
4. パフォーマンスチューニングのポイント
- チャンネル数を適切に設定する: CPUやI/Oリソースを考慮し、適切なチャンネル数を設定する
- DISK vs. SBT(テープストレージ): 使用するストレージに応じた適切な設定を行う
MAXPIECESIZEやFILESPERSETの調整: バックアップサイズを最適化することで、効率を向上- バックアップの並列度とI/O負荷: 並列度を増やしすぎるとI/Oが逼迫する可能性があるため、システムリソースに応じて調整
5. まとめ
- 手動チャンネル割り当ては一時的なバックアップ実行に適し、より柔軟な制御が可能。
- 自動チャンネル割り当ては定期的なバックアップの自動化に適し、運用管理が容易。
- パフォーマンスを考慮した設定を行うことで、バックアップ時間の短縮が可能。
- システムリソースを考慮し、適切な並列度を設定することが重要。
この方法を活用することで、Oracleデータベースのバックアップ時間を短縮し、効率的なバックアップ運用が可能になります。
[参考]
Oracle Database バックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド 19c
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