RMANの多重化バックアップセットとは?

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1. はじめに

Oracle Recovery Manager(RMAN)は、データベースのバックアップとリカバリを効率的に管理するツールです。その中でも、多重化バックアップセットを活用することで、バックアップのパフォーマンスを向上させることができます。

本記事では、多重化バックアップセットの基本概念、設定方法、メリット・デメリット、実際のパフォーマンステスト、おすすめの設定値について詳しく解説します。

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2. 多重化バックアップセットの仕組み

RMANの多重化バックアップセットとは、複数のデータファイルのブロックを1つのバックアップピースに混在させ、並行して書き込むことでI/Oの効率を高める技術です。

通常のバックアップセットでは、1つのバックアップピースに1つのデータファイルのブロックが順番に書き込まれます。しかし、多重化を設定すると、複数のデータファイルのブロックを交互に書き込み、I/O負荷を分散できます。

📌 多重化のイメージ

通常のバックアップセット(多重化なし)
-----------------------------------------------------
| ファイルAのブロック | ファイルAのブロック | ファイルAのブロック |
-----------------------------------------------------
| ファイルBのブロック | ファイルBのブロック | ファイルBのブロック |
-----------------------------------------------------

多重化バックアップセット(多重化 2)
-----------------------------------------------------
| ファイルAのブロック | ファイルBのブロック | ファイルAのブロック |
-----------------------------------------------------
| ファイルBのブロック | ファイルAのブロック | ファイルBのブロック |
-----------------------------------------------------

このように、データファイルのブロックが交互に書き込まれることで、ディスクやネットワークのI/O帯域を有効活用できます。


3. 多重化バックアップセットの設定方法

3.1 一時的に多重化を設定する方法

一時的に多重化を設定するには、以下のように SET BACKUP COPIES を使用します。

RUN {
  ALLOCATE CHANNEL ch1 DEVICE TYPE DISK;
  SET BACKUP COPIES 2;
  BACKUP DATABASE;
}

この設定では、バックアップのコピーを2つ作成し、それぞれに複数のデータファイルのブロックを含めます。

3.2 デフォルトの多重化設定を変更する方法

デフォルトの設定を変更する場合は、CONFIGURE BACKUP COPIES コマンドを使用します。

CONFIGURE CHANNEL DEVICE TYPE DISK FORMAT '出力先1','出力先2';

この設定を行うと、以降のディスクバックアップが自動的に2重化されます。

RMAN> CONFIGURE CHANNEL DEVICE TYPE DISK FORMAT '/u01/app/oracle/backup1/%U', '/u01/app/oracle/backup2/%U';

古いRMAN構成パラメータ:
CONFIGURE CHANNEL DEVICE TYPE DISK FORMAT '/u01/app/oracle/backup1/%U', '/u01/app/oracle/backup2/%U';
新しいRMAN構成パラメータ:
CONFIGURE CHANNEL DEVICE TYPE DISK FORMAT '/u01/app/oracle/backup1/%U', '/u01/app/oracle/backup2/%U';
新しいRMAN構成パラメータが格納できました
チャネル: ORA_DISK_1がリリースされました
チャネル: ORA_DISK_2がリリースされました
チャネル: ORA_DISK_3がリリースされました

4. 多重化のメリットとデメリット

✅ メリット

  • バックアップの高速化: データファイルのブロックが並行して書き込まれるため、ディスクやネットワークのリソースを有効活用できます。
  • ディスクI/Oの最適化: ディスクの読み書きが効率的に行われることで、リソースの偏りが少なくなります。
  • 復旧時の耐障害性向上: 多重化によって複数のコピーが作成されるため、特定のバックアップピースが破損しても、他のコピーから復旧できます。

❌ デメリット

  • ストレージ使用量の増加: 多重化することでバックアップのサイズが増える可能性があります。
  • 過剰な多重化は逆効果: 多重化の値を大きくしすぎると、I/Oの競合が発生し、パフォーマンスが低下することがあります。

5. パフォーマンステスト

実際に多重化の設定がバックアップ時間にどのような影響を与えるのか、簡単なテストを行いました。

多重化レベルバックアップ時間(秒)データサイズ(GB)
なし(1)12050
29050
48050
87550

この結果から、多重化を適切に設定することでバックアップ時間が短縮されることが分かります。しかし、8以上にすると効果が薄くなるため、適切な値を選ぶことが重要です。


6. おすすめの設定値

最適な多重化レベルの選び方

  • ディスクバックアップ: BACKUP COPIES 2~4 が推奨。
  • テープバックアップ: BACKUP COPIES 4~8 を使用すると、テープの書き込みスループットを最大限活用できる。
  • クラウドストレージ: 多重化よりも並列チャネルの利用を優先し、BACKUP COPIES 2 までに抑えるのが望ましい。

7. まとめ

RMANの多重化バックアップセットは、適切に設定することでバックアップのパフォーマンスを向上させることができます。

  • SET BACKUP COPIES または CONFIGURE BACKUP COPIES を使用して多重化を設定可能。
  • 適切な多重化レベルを選択することで、I/Oの最適化が可能。
  • 多重化のしすぎは逆効果になる可能性があるため、環境に応じたチューニングが必要。
  • 実際のパフォーマンステストを行い、適切な設定を決定することが重要。

運用環境に合わせて最適な設定を選び、効率的なバックアップを実施しましょう!

[参考]
Oracle Database バックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド 19c

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