Oracle Recovery Manager(RMAN)は、データベースのバックアップとリカバリを効率的に管理するツールです。その中でも、圧縮バックアップを使用すると、ストレージ使用量を削減しながら効率的にバックアップを取得できます。また、RMANには複数のバックアップ方式があり、用途に応じた選択が重要です。
本記事では、以下の内容について解説します。
- Backupset(バックアップセット)
- Compressed Backupset(圧縮バックアップセット)
- Copy(イメージコピー)
- 圧縮バックアップの種類と設定方法
- 圧縮バックアップの実行例
- 圧縮バックアップのメリットとデメリット
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1. RMANのバックアップ方式(Backupset, Compressed Backupset, Copy)
1.1 Backupset(バックアップセット)
概要
BACKUP コマンドを使用すると、デフォルトで Backupset 形式のバックアップが作成されます。Backupset は RMAN 独自のフォーマットで、通常のデータファイルやアーカイブログファイルを効率的に処理できる形に変換します。
特徴
✅ バックアップ時に 未使用ブロックはスキップされる(データベースサイズより小さくなる)。
✅ 1つのBackupsetに複数のデータファイルをまとめることができる。
✅ RMAN のみがリストアできるフォーマット(OSコマンドで直接アクセス不可)。
バックアップセットの取得例
RMAN> BACKUP DATABASE;
または、指定した場所に保存する場合:
RMAN> BACKUP DATABASE FORMAT '/backup/%d_%T_%U.bkp';
1.2 Compressed Backupset(圧縮バックアップセット)
概要
Backupset に 圧縮処理を加えた バックアップ形式です。ストレージ使用量を削減できるため、特にディスク容量が限られている環境で有効です。
特徴
✅ 未使用ブロックをスキップ するため、バックアップサイズがさらに小さくなる。
✅ 圧縮率の選択が可能(BASIC, LOW, MEDIUM, HIGH)。
✅ CPU負荷が増加 するため、リソース状況を考慮する必要あり。
圧縮バックアップの設定
圧縮方式は CONFIGURE コマンドで設定できます。
RMAN> CONFIGURE COMPRESSION ALGORITHM 'BASIC'; -- デフォルトの圧縮方式
RMAN> CONFIGURE COMPRESSION ALGORITHM 'LOW'; -- CPU負荷が低い圧縮
RMAN> CONFIGURE COMPRESSION ALGORITHM 'MEDIUM'; -- バランスの取れた圧縮
RMAN> CONFIGURE COMPRESSION ALGORITHM 'HIGH'; -- 高圧縮率
圧縮バックアップセットの取得例
RMAN> BACKUP AS COMPRESSED BACKUPSET DATABASE;
注意:LOW、MEDIUM、HIGH の圧縮レベルを使用する場合、Advanced Compression Option(ACO)のライセンスが必要 です。
1.3 Copy(イメージコピー)
概要
Backupset とは異なり、Copy(イメージコピー)は データファイルをそのままの形式でコピー するバックアップ方式です。
特徴
✅ OSコマンドでファイルの内容を直接確認可能(Backupsetは不可)。
✅ 未使用ブロックはスキップされない(データベースサイズとほぼ同じ容量のバックアップになる)。
✅ リストア時に変換が不要 で、そのままファイルをコピーして復旧可能。
✅ バックアップ容量を多く消費する ため、ストレージ要件が増加。
イメージコピーの取得例
RMAN> BACKUP AS COPY DATABASE FORMAT '/backup/%d_%T_%U.dbf';
2. Backupset, Compressed Backupset, Copy の比較
| 方式 | バックアップサイズ | 未使用ブロックのスキップ | リカバリ速度 | OSで直接閲覧可能 | CPU負荷 |
|---|---|---|---|---|---|
| Backupset | 小さい | あり | 普通 | × | 低 |
| Compressed Backupset | 最も小さい | あり | 普通 | × | 高 |
| Copy(イメージコピー) | 大きい | なし | 速い | ○ | 低 |
選択のポイント
- ストレージを節約 したいなら
Compressed Backupset - 復旧を高速化 したいなら
Copy(イメージコピー) - 通常の運用 なら
Backupset
3. まとめ
| バックアップ方式 | メリット | デメリット |
| Backupset | 未使用ブロックをスキップし、サイズが小さい | RMAN以外では直接利用不可 |
| Compressed Backupset | ストレージ節約、ネットワーク転送が軽い | CPU負荷が高い、圧縮アルゴリズムの選択にはACOライセンスが必要 |
| Copy(イメージコピー) | OSコマンドで扱える、リカバリが早い | サイズが大きく、ストレージを圧迫 |
用途に応じて適切なバックアップ方式を選択し、効果的なデータ保護を行いましょう!
[参考]
Oracle Database バックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド 19c
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