Oracle RAC 構成の心臓部とも言える「OCR」と「Voting Disk」。Oracle RAC OCR は、クラスターの構成情報を保持する極めて重要なコンポーネントです。本記事では、Oracle RAC の仕組みを支える OCR の役割、多重化の仕様、および万が一のトラブル時の確認方法について、19c 環境をベースに専門的に解説します。
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導入(要約)
Oracle RAC 環境において、クラスターウェア(Grid Infrastructure)が正常に動作するためには Oracle RAC OCR (Oracle Cluster Registry) と Voting Disk の存在が不可欠です。この記事では、Oracle RAC の仕組みにおける OCR の定義から、ASM ディスク・グループ上での多重化仕様、管理コマンドまでを網羅。読めば RAC 構築・運用時のストレージ設計に迷いがなくなります。
結論:OCR・Voting Disk 管理の最短チェックリスト
- 配置場所: Oracle Grid Infrastructure 19c 以降では、ASM ディスク・グループ上への配置が標準。
- 多重化の鉄則: 物理的に異なるディスク(LUN)に 3 つ(または 5 つ)作成し、単一障害点を排除する。
- 監視対象:
crsctl query css votediskおよびocrcheckコマンドで定期的に正常性を確認。 - リスク管理: 投票ディスク(Voting Disk)の過半数にアクセスできなくなると、ノードは強制再起動(エボリューション)される。
背景と基礎:OCR と Voting Disk の役割
用語の定義
- OCR (Oracle Cluster Registry): クラスター内のリソース情報(インスタンス、サービス、ネットワーク設定など)を格納するレジストリ。
- Voting Disk (投票ディスク): 各ノードの生存確認(ハートビート)を行うための共有領域。ノード間の通信が途絶えた際、どちらが生き残るかを決定する「審判」の役割を果たす。
仕組みのポイント(一口メモ)
初心者向けメモ:
「OCR は設定帳」、「Voting Disk は点呼表」と覚えると分かりやすいです。どちらも全ノードから同時に見えている必要があります。
手順・実装:OCR と Voting Disk の状態確認
前提条件
- OS: Oracle Linux 7 / 8
- 環境: Oracle Grid Infrastructure 19c (CDB/PDB 構成不問)
- 権限:
rootユーザー またはGridインストール・ユーザー
1. OCR の健全性と多重化の確認
OCR がどのディスク・グループに、いくつ存在するかを確認します。
# root ユーザーで実行
ocrcheck
実行結果の読み方:
「Device/File Name」の項目に +DATA や +VOTE などが表示され、複数存在していれば多重化されています。
[root@v19rac1 grid]# ocrcheck
Oracle Cluster Registryのステータスは次のとおりです:
バージョン : 4
領域合計(KB) : 491684
使用済領域(KB) : 84232
使用可能な領域(KB) : 407452
ID : 276619928
デバイス/ファイル名 : +OCR
デバイス・ファイルの整合性チェックが成功しました
デバイス/ファイルが構成されていません
デバイス/ファイルが構成されていません
デバイス/ファイルが構成されていません
デバイス/ファイルが構成されていません
クラスタ・レジストリの整合性チェックが成功しました
論理破損チェックに成功しました
2. Voting Disk の配置と状態確認
投票ディスクの数とステータスを確認します。
# grid ユーザーまたは root で実行
crsctl query css votedisk
実行結果の読み方:
「STATE」が ONLINE であれば正常です。冗長性(Normal Redundancy)を確保している場合、通常 3 つのディスクが表示されます。
[root@v19rac1 grid]# crsctl query css votedisk
## STATE File Universal Id File Name Disk group
-- ----- ----------------- --------- ---------
1. ONLINE 5f5e536004104f45bfc282741bf4af8b (/dev/sdb1) [OCR]
Located 1 voting disk(s).
トラブルシューティング:代表的な ORA/CRS-エラー
OCR 関連のトラブルは、主に共有ストレージへのアクセス遮断によって発生します。
| エラーコード | 原因 | 確認・対処方法 |
| PROT-602 | OCR への書き込み/読み取り失敗 | ocrcheck で破損を特定。バックアップからのリストアを検討。 |
| CRS-1607 | Voting Disk へのアクセス不可 | HBA の物理パス、または ASM ディスク・グループの状態を確認。 |
| CRS-4535 | ネットワーク/ディスクのタイムアウト | Interconnect またはストレージ・ネットワークの遅延を調査。 |
運用・監視・セキュリティ上の注意
- 多重化の重要性: OCR は ASM のディスク・グループの冗長性に依存します。
EXTERNAL冗長性のグループに 1 つだけ OCR を置くのは極めて危険です。 - バックアップ: OCR は 4 時間ごとに自動バックアップされます。
ocrconfig -showbackupで場所を確認しておきましょう。 - 戻し方(重要): OCR が全損した場合、Grid Infrastructure を非クラスター・モードで起動し、
ocrconfig -restoreで復旧する必要があります。これは DB 停止を伴う重作業です。
FAQ:Oracle RAC OCR に関するよくある質問
Q: OCR を DATA ディスク・グループに同居させても良いですか?
A: 技術的には可能ですが、パフォーマンスや管理の分離を考慮し、専用の +VOTE(または +OCR_VOTE)グループを作成することを推奨します。
Q: Voting Disk の数はなぜ奇数なのですか?
A: 「過半数(Majority)」の票を得たノードを生存させるというアルゴリズム上、偶数だと同点(スプリットブレイン)になるリスクがあるためです。
Q: OCR の内容を手動で編集できますか?
A: できません。必ず srvctl や crsctl などの Oracle 管理ユーティリティを介して更新してください。
まとめ
- Oracle RAC OCR はクラスター全体の「設計図」であり、ASM 上での多重化が必須。
- Voting Disk はノードの生存を判定する「審判」であり、ディスク・フェンシングの鍵となる。
- Oracle RAC の仕組みを維持するためには、共有ストレージの安定性が最優先。
- 定期的な
ocrcheckと自動バックアップの保管状況確認を運用フローに組み込む。
本記事は Oracle Database 19c を対象に解説します(他バージョンは画面や既定値が異なる場合があります)。
[参考]
『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』のこのリリースの変更内容

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